私は Web 業界でエンジニアとして働いていますが、最近 UI や UX に強く興味を持つようになったので、デザインについて学ぶべく『誰のためのデザイン?』を読みました。
この書籍では飛行機や自動車、テクノロジーなど身近なものを例にデザインについて具体的に説明されているので、デザインに疎い私にとっても大変理解しやすい内容になっています。様々な分野のデザイナーやエンジニアにとって大変勉強になる1冊だと感じました。勉強になった言葉や概要を書き残しておきます。
*構成
- 毎日使う道具の精神病理学
- 日常場面における行為の心理学
- 頭の中の知識と外界にある知識
- 何をするかを知る(制約、発見可能性、フィードバック)
- ヒューマンエラー?いや、デザインが悪い
- デザイン思考
- ビジネス世界におけるデザイン
*1章. 毎日使う道具の精神病理学
様々な身近なものやサービスを例にした、人間中心デザインについて書かれています。*2章. 日常場面における行為の心理学
行為のサイクルには7つの基本的なデザイン原則があり、問うべき基本的なチェックリストになります。下記の質問に対しての答えをいつでも出せるようになっていなければいけません。- 何を達成したいか
- 代替となる行為系列は何か
- 今どの行為ができるのか
- それをどうやってやるのか
- 何が起こったのか
- それは何を意味するのか
- それで良いか、私はゴールを達成したのか
- 発見可能性 ---- どのような行為が行えるのか、機器の今の状態はどのようになっているか。
- フィードバック ---- 行為が実行されたあと状態がどうなったか。
- 概念モデル ---- デザインが理解と制御につながるようにする。
- アフォーダンス ---- 望ましい行為を可能にする。
- シグニファイア ---- フィードバックが理解可能なかたちで伝えられる。
- 対応づけ ---- 制御部と行為の間の関係は良い対応づけの原理に従う。
- 制約 — 物理的、論理的、意味的、文化的な制約を与えることによって行為を導き解釈のしやすさを助ける。
*3章. 頭の中の知識と外界にある知識
文化の違いによって当たり前のように知っていることが異なるといった、外界に存在する自然な制約があります。行動が正確でなくても区別できるだけの知識があれば充分で、それを導き出すようなデザインが必要です。制約があることによって記憶の負担を減らすことができます。大勢が認知している硬貨などのデザインを急に変えると、大混乱が起こってしまいます。何かの行為を思い出させるとき、きっかけとなるアクションが出るようにデザインすることが大切です。
*4章. 何をするかを知る(制約、発見可能性、フィードバック)
物理的、文化的、意味的、論理的な4種類の制約が存在します。物理的な制約によって可能な操作の幅を狭めることができます。文化的な制約とは広く受け入れられた慣習や決まりのことで時間と共に変わります。意味的な制約は、状況や外界に関する知識に依存しており、これも時間と共に変化します。論理的な制約は影響を及ぼしたり、及ぼされたりする対象との間に存在する関係です。文化的な規範、慣習、標準といった制約により、初めての場所等でも行動することができます。*5章. 何が起こったのか
ゴールは正しいが必要な行為が適切に行われないことをスリップといい、ゴールが間違っているときをミステークといいます。スリップはタスクに対する注意が欠如することで起こりやすく、主に熟練者が犯しやすい行為です。反対に初心者はミステークを犯しやすいです。ミステークは曖昧な情報、良い概念モデルの欠如、不適切な手順から発生します。割り込みによって多くのスリップとミステークが起こります。エラーを受け入れ、その原因を理解し、それらが再び起こらないようにすることが大切です。
*6章. それは何を意味するのか
本当の課題は何かを理解することが大切です。人間中心デザインプロセスには、下記 4つの異なる活動があります。- 観察
- アイデア創出
- プロトタイピング
- テスト
*7章. それで良いか、私はゴールを達成したのか
メーカーが競争する最も重要なものは、価格、機能、品質の順となっています。スピードは重要で早く世の中に出さなければ競合に先を越されてしまいます。良い戦略とは、自社が強い分野に集中してそれをさらに強くすることです。マーケティングと宣伝の焦点を絞ったり、無関係なものは無視して顧客に集中するといった弱さは捨て強さに集中することが大切です。計算や記憶を助けてくれるテクノロジーは我々を愚かにしますが、些細なことに気を遣わせる意味のない圧力から我々を解放し、重要で意義深いことに集中できるようにしてくれます。テクノロジーの進化によって変わるのはタスクで、人間と機械を合わせればより強力になれます。
*所感
この書籍を読んだことで、身近なもののデザインについて改めて着目してみるきっかけとなりました。人間がものやテクノロジーを操作するとき、失敗することを前提にしてデザインを考えていきたいと思います。Sign up here with your email
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